2025年04月18日

効率化が進む「相続手続き」 その2

相続手続きを行うには、相続人や相続財産の把握~確定をしなければなりません。
今までは、大変な手間が掛かったこともありますが、
現在では、必要書類の収集方法や金融資産の確認において様々な効率化が進んでいます。
今回は、「事前に相続について勉強しておこう!」といった方向けに
それら効率化された内容などについて、全2話のお話しです。

相続財産調査などで利用できる商会・開示請求

生命保険契約照会制度

2021年7月1日から、被相続人が加入している生命保険が分からない場合には、
「生命保険契約照会制度」を利用することで、
被相続人の加入保険が分かるようになりました。

ただし、調査対象となる保険会社や契約などは、下図のように限られているため、
全ての情報が分かる訳ではありません。
 
また、生命保険は保険法により、
被相続人が死亡した日の翌日から3年(一部生命保険を除く)が経過すると、
保険金請求権が時効により消滅する可能性があるため、
時効前の保険であることが大前提となります。

なお、当該制度の利用にあたっては、3,000円(税込)/回が必要ですが、
オンラインもしくは、書面のいずれかの方法で申込みが可能です。
相続人であれば誰でも生命保険協会へ請求出来ますが、
代理人へ依頼する場合には、弁護士、司法書士、税理士にしか依頼できません。
 
また、当該制度で保険会社への加入が判明すると、
その保険会社へ連絡をし、個別に調査をしてもらう必要があります。

登録済加入情報の開示請求

被相続人が取引していた証券会社や信託銀行が分からない場合には、
証券保管振替機構の「登録済加入者情報の開示請求」を利用することで、
口座が開設されているかを確認できます。
 
なお、当該制度で確認出来る情報は下図となり、
全ての証券会社等が分かるとは限りません。

開示請求は、証券保管振替機構へ郵送で行いますが、6,050円(税込)/件が必要です。
※前話でお話ししました、法務局発行の「法廷相続情報一覧図」を提出した場合は、4,950円(税込)/件。

被相続人の住所と氏名の組み合わせで照合されるため、
「A氏+住所A」、「A氏+住所B」、「A氏旧姓+住所A」は、全て別の人物とされます。
なお、該当がない場合であっても費用の返還はありません。

証券保管振替機構から届く照会結果は、口座有無と加入者口座コードしか記載がないため、
どのような銘柄を保有していたのかは分かりません。
そのため、照会結果が届き、口座開設が判明すれば、
その証券会社や信託銀行に残高証明書の発行を依頼し、
保有銘柄などの確認をするという流れとなります。

最後に

2026年2月2日から、「所有者不動産記録証明制度」という制度が始まります。
被相続人が所有している不動産を調べるには、
「権利証(登記済権利証。登記識別情報通知)」や、
毎年4月に送付されてくる「固定資産税納税通知書」や「名寄帳」で確認します。
 
しかし、「固定資産税納税通知書」や「名寄帳」は、
いずれも市区町村役場の管轄内の不動産に限られているため、
他の管轄内にある不動産を所有している場合には、
その不動産の管轄の市区町村役場へ「名寄帳」を請求する必要があります。

ところが、新制度では、住所と氏名から調査され、
名義人が保有している全国の不動産の情報(種類、所在地、面積)を
一括して調査出来るようになります!

とは言え、古い住所や旧姓、登記している漢字相違などの場合には該当せず、
全ての情報が分かるとは限りません。

相続手続きを短縮できる制度が徐々に整備されてきました。
これら制度の活用で相続準備が簡略化できる方もいますが、
完全とはいえない一面もあるため、ご利用時には、注意点も含めて理解が必要です。



なお、今回のお話しは、私もファイナンシャルプランナーとして入会しております、
「日本FP協会」発信の記事(執筆協力:明石久美氏)からの抜粋となります。
神戸市垂水区・西区・三木市・明石市におきまして、不動産の売却でご質問などございましたら、
 『不動産のコンシェルジュ』までお気軽にお問合せください。

売却や査定のご相談は、こちらまでお気軽にお問合せください。
ページの先頭へ