2025年03月21日

契約不適合責任をわかりやすく解説 その3

相続手続きを行うには、相続人や相続財産の把握~確定をしなければなりません。
今までは、大変な手間が掛かったこともありますが、
現在では、必要書類の収集方法や金融資産の確認において様々な効率化が進んでいます。
今回は、「事前に相続について勉強しておこう!」といった方向けに
それら効率化された内容などについて、全2話のお話しです。
「契約不適合責任」とは、
売買や請負などの契約に基づき引き渡された目的物について、
① 目的物の種類、② 目的物の数量、③ 目的物の品質 のいずれかにおいて、
契約の内容と相違があった場合に、売主が買主に対して負担する法的責任をいいます。

引き渡される不動産が、『聞いていた話と違う!』となった時、
買主を救済するためのルールが「契約不適合責任」として民法に規定されています。

今回は、不動産取引における「契約不適合責任」について、全3話でわかりやすくお話しします。 
このテーマの最後は、
「不動産売却で売主が気をつけたいポイント」についてお話しします。

契約不適合を理由に、買主から何らかの請求をされるリスクを考えると、売却する不動産について、
買主とのしっかりとした情報共有が大切だとお解りいただけると思います。

契約との適合性は、不動産仲介会社が作成する「売買契約書」や「重要事項説明書」が全てではありません。

引渡しの後、買主から「話しとは違う」と主張されないように、
買主との合意は、“不明瞭な部分を可能な限り減らす”ことが重要かつ不可欠です。


では、不動産売却において、売主が気をつけたいポイントについて、いくつかお話しします。

責任を問われる具体的な事例

売主が雨漏りに気付かず、買主に告知をせずに住宅を売却したケースを例に考えます。

この場合、買主は雨漏りの修繕を請求(追完請求)でき、
売主が修繕に応じないときは、修繕費用相当分を売却代金から減額する請求(代金減額請求)も可能です。
雨漏りは、居住性を損なう重大な不具合のため、
その程度がひどければ契約を解除(契約解除)される恐れもあります。

また、雨漏りが原因で損害が生じていると「損害賠償請求」も考えられますが、
雨漏りを知っていて隠していたなど、売主に責任がなければ請求の要件(帰責事由)を満たしません。
とはいえ、売主が知らなかったと証明するのは難しく、トラブルは避けられないでしょう。

免責の特約について

「契約不適合責任」は、当事者の合意(契約上の「特約」)により、一部または全部を免責できます。

例えば、買主の請求権を追完請求だけに限定する、売主が契約不適合責任を負わないとするなど、
契約の自由は尊重されます。
 
ただし、契約不適合責任を負わない特約を付していたとしても、
知りながら告げなかった事実については責任を主張できません(民法第572条)。

ちなみに、他不動産会社様が作成する契約書で、たまに見かけるのが、
“宅建業者でない一般の法人”が売主になる売買において、
「契約不適合責任」を“免責”に しているケースです。

この場合、“消費者保護法”の関係から、“免責”の特約は無効となりますので、
くれぐれもご注意ください。 

契約不適合責任の期間

買主は、目的物の種類や品質に関する契約不適合を“知ってから1年以内”
売主へ通知しなければ追完などの請求ができません。
 
また、数量や権利の契約不適合に通知の要件はありません。
ただし、次のどちらかの場合には、要件から1年以内の通知が外されてしまいます。
・売主が契約不適合を知りながら目的物を引き渡した
・売主の重大な過失で契約不適合を知らなかった

なお、買主の請求期間は、一般的な債権の消滅時効と同じで、
“請求できると知ってから5年”または“請求できるときから10年”です。
 
買主は、契約不適合を認識したと同時に請求できること知るというのが自然であるため、
その時点から5年のケースが多いと考るのが通常だと思われます。

不動産会社による「買取」なら契約不適合責任がない

今回のお話しの「その①」でもふれましたが、
契約不適合責任は、瑕疵担保責任よりも買主の請求権が拡大され、
売主にとって売却後のリスクが拡大しました。

そのため、売主としては契約不適合責任が一部でも免責されるよう、
当事者の合意(契約上の「特約」)を得て、契約をしたいと思われる方が多いと思います。

しかし、買主が免責に応じなければ売買契約が成立しません。
「契約不適合責任」に変わってから、個人を対象とした不動産売却については、
少し売りにくくなったといえるのではないでしょうか・・・

一方、不動産会社による「買取」は、不動産会社が買主となって直接不動産を買い取る方法で、
“契約不適合責任を免責するのが一般的”です。

契約不適合責任に問われるリスクを回避して不動産を売却したい場合、
不動産会社による「買取」は、有効な選択肢の一つといえます。
神戸市垂水区・西区・三木市・明石市におきまして、不動産の売却でご質問などございましたら、
 『不動産のコンシェルジュ』までお気軽にお問合せください。

売却や査定のご相談は、こちらまでお気軽にお問合せください。
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