「契約不適合責任」とは、
売買や請負などの契約に基づき引き渡された目的物について、
① 目的物の種類、② 目的物の数量、③ 目的物の品質 のいずれかにおいて、
契約の内容と相違があった場合に、売主が買主に対して負担する法的責任をいいます。
引き渡される不動産が、『聞いていた話と違う!』となった時、
買主を救済するためのルールが「契約不適合責任」として民法に規定されています。
今回は、不動産取引における「契約不適合責任」について、全3話でわかりやすくお話しします。
契約不適合責任を問われるとどうなるのか?
第2回目は、“買主が請求できる権利”についてお話しします。
契約不適合責任で認められた買主の請求権は、以下の4つです。
「追完請求権」
「代金減額請求権」
「損害賠償請求権」
「契約解除権」
※追完請求権と代金減額請求権は、契約不適合責任で追加されました。
買主は、引き渡された不動産が契約に適合していないとき、
売主に対し下記のいずれかで、“契約に適合した状態”にするよう請求ができます。
・目的物の修補
・代替物の引渡し
・不足分の引渡し
とはいえ、不動産は“唯一無二”のモノですから、
代わりの物や不足分を引き渡して契約に適合させるという対応は難しいのが実情です。
そのため、雨漏りのような不動産の一部機能に契約不適合があるときは、
修補(修理や補修)という選択で対応することになるでしょう。
買主が、相当の期間(売主が対応できるだけの期間)を定めて追完請求をしたにも関わらず、
売主が追完請求への対応をしないときは、“契約不適合の程度に応じて代金の減額”を請求できます。
とはいえ、契約不適合の内容によっては、売主が対応できないケースも考えられます。
例えば、契約上では50坪の土地売買だったはずが、実際には49坪しかなかったような場合、
売主には、不足の1坪を追加で引き渡す術がありません。
このように売主が追完できない場合は、
買主が追完を求めなくても(即時に)代金減額(例では1坪分の減額)を請求できます。
また、売主が追完を拒絶した場合や、契約に適合する見込みがない場合も同様です。
契約に適合しない不動産を引き渡された結果、
“買主に損害が生じた場合は、売主に損害賠償を請求”できます。
ただし、売主に帰責事由(落ち度)がなければ損害賠償請求できません(民法第415条第1項ただし書き)。
この点については、契約に適合しないことのみを要件とした、
「追完請求」や「代金減額請求」とは異なりますので、ご注意ください。
売主が、相当の期間(売主が対応できるだけの期間)を定めて追完請求をしたにも関わらず、
売主が追完請求への対応をしないときは、“買主から契約を解除”できます。
これを、「催告解除」といいます。
ただし、契約との不適合が「契約及び取引上の社会通念に照らして」軽微なときは解除できません。
また、売主が追完できない、売主が追完を拒絶したなど、契約に適合する見込みがない場合は、
相当の期間(売主が対応できるだけの期間)を定めて追完請求をしなくても、解除が可能です。
これを、「無催告解除」といいます(民法第542条)。
お気付きかもしれませんが、これら契約解除の要件は、“代金減額請求の要件と重複”します。
そのため、売主が追完の請求に応じない場合、
買主は、「代金減額請求」か「契約解除」のいずれかの選択となるでしょう。
次回は、売主が気を付けたいポイントについてお話しします。
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