2025年02月11日

契約不適合責任をわかりやすく解説 その1

「契約不適合責任」とは、
売買や請負などの契約に基づき引き渡された目的物について、
① 目的物の種類、② 目的物の数量、③ 目的物の品質 のいずれかにおいて、
契約の内容と相違があった場合に、売主が買主に対して負担する法的責任をいいます。

引き渡される不動産が、『聞いていた話と違う!』となった時、
買主を救済するためのルールが「契約不適合責任」として民法に規定されています。

今回は、不動産取引における「契約不適合責任」について、全3話でわかりやすくお話しします。
●契約不適合責任の基礎知識
まずは、「契約不適合責任」とは何か?
知っておくべき基礎知識をご紹介します。

契約不適合責任とは

「買う約束(契約)をした物と引渡しを受けた物に違いがあった」ことに対して売主が負う責任のことです。

民法第562条から第564条までに規定されており、
条文では、
『引き渡された目的物について、「種類」「数量」「品質」のいずれかにおいて
 契約の内容に適合しないものであるとき』
が、
契約不適合責任の発生要件です(第562条第1項)。
また、売買によって買主に移転した権利も対象です(民法第565条)。

契約不適合と目的物の品質

一般的に住宅が備えているだろう品質については、わざわざ売買契約書に明記されません。
例えば、居住を前提として売買される住宅は、
屋根や壁で雨風をしのぐことが出来、寝食をする空間も確保されており、普通に暮らせる建物だと、
当前に想定されています。

売買契約書に明記されていないからといって、想定されている品質が欠けた住宅を売って良い訳ではありません。
こんな場合、売主は契約不適合として責任を追及されます。
※買主が品質が欠けていることを知っている場合は除く。


なお、目的物の「種類」と「数量」は、契約と異なる場合に判明しやすいですが、
「品質」については主観的な部分もあります。
売主と買主の意識差が大きい場合はトラブルが発生するおそれがあるため、
売主は契約前にしっかりと買主へ説明する必要があります。

「契約不適合責任」は、2020年4月1日から施行された民法に盛り込まれた規定です。
それまでは、「瑕疵担保責任」と呼ばれる、
“買主が注意を払っても知り得なかった不具合や欠陥(隠れた瑕疵)に限って売主が責任を負う”という
規定であったため、買主が瑕疵を知らなかったかどうか?が、常に争いの原因でした。

そこで、“契約との適合性”に焦点を絞り込んだ「契約不適合責任」という新たな規定に変更されました。

結果、契約に適合した目的物が引き渡されていないとき、買主は売主に責任を追及できるようになり、
「瑕疵担保責任」よりも買主の請求権が拡大され、売主の責任が重くなりました。


次回は、買主が売主に対して請求できる権利についてお話しします。
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