2024年02月29日

家を売ったら、必ず確定申告!?

はじめに

家を売却した時には、買主から“売却代金”を受領するため、“収入”が発生します。
という事は、その“収入”について、必ず確定申告が必要になるのでしょうか?
今回は、家の売却と確定申告の必要有無についてお話しします。

必ずしも確定申告が必要という訳ではない

いきなり答えを述べていますが、
結論から申し上げると、家の売却をした時の“収入”について、必ず確定申告をする必要はありません。
では、どういう基準で確定申告の必要有無が決まるのでしょうか?

確定申告の必要有無は、“利益の有無”で決まる

確定申告の必要有無の基準は、家を売却した結果、“利益が有ったか否か”で決まります。
 
利益の有無については、
「売却価格から、その家を買ったときの購入代金や諸費用とその家を売った時に要した諸費用を差し引いて」判断します。
 
なお、このように計算して出た収入を「譲渡所得」と言い、
この譲渡所得がプラスだったかマイナスだったかで判断するという訳です。
『譲渡所得=売却価格ー(取得費+譲渡費用)』

なお、「取得費」においては、
“建物の減価償却分を差し引く”必要があるというのがポイントの一つです。
 
また、中古住宅を購入して、その家を売却した時の減価償却は、
当該建物の新築時からの減価償却ではなく、取得時からの減価償却で計算できます。
ここもポイントの一つです。
※減価償却費とは、築年数の経過とともに減少する建物の価値のこと。

例えば、取得費が3,000万円の家を、譲渡費用150万円を要して3,500万円で売却した場合、
3,500万円ー(3,000万円+150万円)=350万円(譲渡所得)となり、
プラスとなるため、このケースでは確定申告が必要です。
一方、同じ家が3,000万円で売却した場合、
3,000万円ー(3,000万円+150万円)=▲150万円(譲渡所得)となり、
マイナスとなるため、このケースでは確定申告が不要です。

国税庁の確定申告専用ホームぺージでは、譲渡所得の計算が簡単にできます。

購入時の書類と売却した時の書類を手元に用意し、国税庁の確定申告専用ホームページを利用すると、
減価償却を含め、簡単に譲渡所得の計算ができますので、是非、チェックしてみてください。

確定申告を忘れた場合の対処について

譲渡所得の計算を間違えてマイナスと勘違いして確定申告をしていなかったり、
そもそもうっかり忘れていたりなどした場合は、どうすれば良いのでしょうか?
その場合のペナルティと対処法についてお話しします。

確定申告を忘れた場合のペナルティ

・無申告加算税
・延滞税
上記2つのペナルティが課されます。
 
「無申告加算税」とは、文字通り、期限内に確定申告をしなかったことに対する罰則です。
納税額が50万円以下なら納税額の15%、50万円超の場合には20%を納める必要があります。
 
「延滞税」は、期限の経過年数に比例して納税額が上がる仕組みとなります。

確定申告を忘れた場合の対処法

申告期限1ケ月以内に期限後申告をすることで、無申告加算税や延滞税が加算されることはありません。
 
なお、不動産売却をした人のなかでも譲渡所得が発生した可能性がある人に対しては、
税務署から「譲渡所得の申告についてのお尋ね」といわれる文書が届きく場合がありますので、
売買契約書や明細書、預金通帳や領収書など、売却した不動産の購入代金や譲渡価格がわかる書類を準備して、
すみやかに正しく回答してください。
※税務署から届く「譲渡所得の申告についてのお尋ね」は、法的な書類や税務調査の一環ではありません。
そのため放置したとしても罰金や罰則が課せられたり、すぐに税務署が訪ねてきたりすることはありませんが、
無回答のままにしていると、脱税の疑念を持たれ、税務調査が入る可能性もありますので、ご注意ください。

その他

計算の結果、納税が不要であった場合でも注意しておくべき点についてお話しします。

特例の利用で利益が発生しない場合でも確定申告は必要です

上記試算において、譲渡所得がプラスだったとしても、当該不動産がマイホームなどだった場合、
譲渡所得3,000万円までは控除してくれるという特例
(居住用財産3,000万円の特別控除 他)がございます。
 
簡単に説明すると、譲渡所得が3,000万円以下であれば、
譲渡所得が“ゼロ=納税不要”になるという嬉しい制度です。
 
“ゼロ=納税不要”とはいえ、この特例を利用するには確定申告が必要となりますのでご注意ください。

損益通算する場合にも確定申告は必要です。

家を売却した時にマイナスが生じた場合、本来は、他の所得と損益通算できないのですが、
一定の条件を満たした場合に限り、給与所得や事業所得と損益通算できる場合があります。
 
また、損益通算しきれない場合は、繰越控除を利用できる場合もございます。
確定申告とは、税金を取られるばかりの作業ではなく、取り返すためにも必要な作業ですので、
ご自身が該当される場合には、お忘れのないようご注意ください。

最後に

お家を売ったとしても、譲渡所得が発生しなければ=利益が出ていなければ、基本的には確定申告は不要です。
 
ただし、譲渡所得の計算が間違っていたり、申告が必要と分かっていてもうっかり忘れていたりすると、
無申告加算税や延滞税の納税義務が発生する可能性が高くなりますので、くれぐれもご注意ください。
 
確定申告に自信の無い方については、事前に税務署などへの問合せや、
確定申告期間内に設けられる、特設会場を利用してのお手続きがおすすめです。
神戸市垂水区・西区・三木市・明石市におきまして、不動産の売却でご質問などございましたら、
 『不動産のコンシェルジュ』までお気軽にお問合せください。

売却や査定のご相談は、こちらまでお気軽にお問合せください。
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