今回、3回に分けてお話しをしてきましたが、
最後は、相続した不動産を売却する際に知っておきたい注意点についてお話しします。
相続した不動産は、被相続人(亡くなった方)の名義のまま買主名義へ移すことは出来ないため、
一旦、相続人への名義変更(相続登記)が必要となります。
この相続登記の際に、相続人複数の共有名義にしていた場合、
その共有者全員が売主となるため、売買契約書には全員の署名捺印が必要となり、
原則、契約時にも代金受領時にも全員の立会を求められます。
もし、スケジュールが合わない場合、委任状の作成などが必要だったり、
司法書士の事前面談が必要であったりと手続きが煩雑になりがちです。
そのため、前回でふれました「換価分割」に際しては、
名義人となる代表者を1人決め、その方に手続きを依頼すると売却手続きがスムーズです。
なお、代表者1人に名義を寄せて手続きを行う場合、
遺産分割協議書には、「換価分割」であることを明記しておいてください。
この明記が無い場合、売却後に現金を分け合った際、
代表者から他の相続人への“贈与”とみなされる場合があります。
また、“「固定資産税・都市計画税」の支払い方法”も決めておかれることをおすすめします。
不動産を取得していると、毎年、「固定資産税・都市計画税」が発生します。
もしも、不動産の売却に時間を要した場合、当該税金の納付が必要となりますが、
納付義務者は、代表者の方となりますので、不動産売却の代金から相殺するなど、
これらの清算方法についても遺産分割協議書に明記されておかれると良いと思います。
最後に、“最低売却価格”を決めておかれることも大切です。
不動産の売却においては、買主から値引きの相談をされることも珍しくありません。
なお、値引きへの回答については、
買主の購入希望への気持ちが冷めてしまわないためにも少しでも早い方が良く、
値引きの相談があった時に初めて相続人全員へ連絡してから価格を決定するとなれば
時間を要する可能性があり、あまり望ましくありません。
そのため、前もって全員で最低売却価格を決めておき、それまでの値引き交渉に対しては、
代表者が即時に決断できる状態を作っておかれることをおすすめします。
以上、3回に分けてお話しさせていただきましたが、
遺産分割協議書は、相続人が自分で作成することも可能です。
ただ、遺産分割をめぐってトラブルが生じている場合や、
遺産額金額・種類が多い場合、複雑な要素のある相続においては、
専門の士業者(弁護士、司法書士、税理士、行政書士)に遺産分割協議書の作成をお任せする方が
安心かもしれません。
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